

とある日の出来事です。
私が日課の昼寝をしていたら、「停電して電気が消えてしまった」という一本の電話で叩き起こされました。
半分寝ぼけ眼で、メガー等を用意して、現場に急行しました。
分電盤を見たら、主幹である中性点欠相保護機能付の過負荷保護付漏電遮断器が動作しており、漏電表示が出ていました。
その為、漏電で主幹が動作したものと判断し、主幹を「OFF」にして、主幹2次側の対地絶縁抵抗をメーガーで測定しました。
測定値が20MΩ以上で問題無かった為、試しに主幹を「ON」にしてみたら、復電しました。
5分位、様子を見ていたのですが、特に異常が無かった為、雷かノイズ等の突発的な外因で誤動作したのではないかと思い、片付けをして帰ろうとしました。
ところが、世の中、そう上手くはいかなくては、その瞬間、又、主幹が漏電で動作してしまいました。
再度、主幹を「ON」にしようとしました。
しかし、今度は、主幹を「ON」にすることが出来無かった為、一度、分岐回路用ブレーカーを全て「OFF」にし、端から順番に一つづつ「ON」にして、漏電回路を特定する方法に切り替えました。
そうしたところ、最後の分岐回路を「ON」にすると、主幹が動作することが判明しました。
そこで、応急処置として、最後の分岐回路のみ「OFF」にし、それ以外の回路は全て「ON」にして復電しました。
ここまで来たら、後は、漏電個所の特定ですが、先方都合で、その時は漏電個所の特定作業が出来なかった為、作業を一時中断し後で作業することになりました。
時間が経過し、作業を再開したのですが、不思議なことに、最後の分岐回路の対地絶縁抵抗を測定したら、絶縁抵抗値は異常無しでした。
漏電状態が継続していれば、漏電個所の特定は比較的容易ですが、消えたり現れたりするお化けみたいな漏電は、ほんと厄介です。
このような漏電の原因としては、延長コードの漏電、配線ミス、負荷の漏電等が考えられますが、ここから先の調査は、先方が依頼した業者がやることになりました。
後日、その調査結果を聞いたら、漏電原因は、驚くべき程、初歩的な電気工事の配線ミスだったことが判明しました。
何と、100V15A接地極付抜け止め式コンセント2口の接地側電線と接地線が逆に接続されていたとのことでした。
尚、実物が手元に無い為、接地端子付100V15A接地極付コンセントを代用して、この状態を再現したのが写真です。
まさか、プロの電気工事業者が、こんな初歩的なミスをするとは思いもよりませんでした。
しかし、これを聞いて、やっと、漏電原因が納得出来、頭の中のモヤモヤが晴れました。
私の推測では、今回の漏電現象のメカニズムは下記の通りだと思います。
①分岐回路用ブレーカー「ON」、コンセントに負荷が接続されていない状態では、原則、接地側電線の電位は0Vで有り、接地側電線―コンセント接地極迄しか繋がらない為、漏電しません。
②分岐回路用ブレーカー「ON」、コンセントに負荷が接続され、負荷SWが「ON」になった状態では、非接地側電線―コンセント非接地側―負荷―コンセント接地側―接地線―分岐回路分電盤接地ターミナル―接地という回路が形成され、地面と接続される為、漏電します。
③分岐回路用ブレーカー「OFF」、接地側電線―コンセント接地極迄しか繋がらない為、絶縁抵抗OK。
④分岐回路用ブレーカー「OFF」、コンセントに負荷が接続され、負荷SWが「ON」になった状態では、非接地側電線―コンセント非接地側―負荷―コンセント接地側―接地線―分岐回路用ブレーカー迄しか繋がらない為、絶縁抵抗OK。
以上
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