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草剛と公然猥褻(わいせつ)罪

2009/04/25 15:39:27 | デタラメ法律放談 | コメント:0件

 草剛(くさなぎつよし)(以下、単に「K」とのみ表記する)が、公然猥褻(わいせつ)罪(刑法174条)で逮捕され、そのことについては、賛否両論あるようです。

そこで、今回のケースを、刑法の問題として捉えた場合、考え様によっては、非常に興味深いケースなので、その内容について、ちょ~とだけ、検討してみることにしました。

尚、犯罪が成立する為には、構成要件該当性、違法性、有責性の3要件を満たす必要があるので、今回のケースを、これらの3要件に分けて考えることにします。

 第1は、構成要件該当性です。

構成要件該当性というのは、Kの行為が、刑法典に記載されている犯罪行為に該当するかどうかと言うことです。

今回のケースである公然猥褻罪とは、公然と猥褻な行為をすることです。

そして、『公然とは、・・・不特定または多数の人が認識できる状態のことをいう。・・・「わいせつ」については、・・・「いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反すること」をいうとされている。「わいせつな行為」の典型例は、性行為や、性器の露出行為である。』(注1)

そこで、今回のケースについて考えてみると、Kは、全裸で騒いでいたので、これは、性器の露出行為であり、猥褻行為に該当します。

尚、一部、ジャーナリストの中には、『「誰もいない公園で裸になっても、公然わいせつ罪は成立しないはずだ」と主張する立場。』(注2)の者もいるようですが、これは、誤りです。

それは、公然性とは、『認識できる状態があればよいから、誰かが現に見ていることは要件とならない。わいせつ行為が海水浴場近くの海岸で行われたが、現実には通行人がなく、海上300メートルの地点を遊覧船一隻が通過したにすぎないとしても、公然性が認められるとした判例がある(東京高判昭32・10・1東高時報8-10-352)。』(注3)からです。

その為、Kが、全裸で騒いでいたのは、深夜の公園ですが、公然性ということに該当します。

それから、故意か過失かによっても判断が異なり、故意があれば、公然猥褻罪になり、過失なら、公然猥褻罪にはなりません。

但し、故意か過失かの区分が難しくて、極楽トンボの山本が、桜美林大学学園祭で下半身を露出して、公然猥褻罪で逮捕された事件の場合は、明らかに故意だと分るのですが、Kの場合は、故意と判断するのは、ちょっと難しいような気もします。

例えば、故意(意図的)に皿を割ったら、器物損壊罪になりますが、過失で(うっかり手が滑って)、皿を割っても、器物損壊罪にはなりません。

それと同様、極楽トンボの山本は、明らかに意図的に下半身を露出していますが、Kの場合は、酒の上での失敗なので、過失で皿を割るのと同じ様な気がします。→過失なので、構成要件該当性は満たされません。

しかし、その一方で、K自身、過去にも、酩酊状態になって、裸になったと言う前歴があるようなので、Kがそのことを承知の上で、酩酊状態になるまで飲酒をしたとするならば、未必の故意があったと言われても仕方が無い気がします。→故意なので、構成要件該当性が満たされます。

 第2は、違法性です。

違法性とは、正当行為(刑法35条)、正当防衛(刑法36条)、緊急避難(刑法37条)に該当しない行為のことで、Kの行為は、これらの何れにも該当しないので、違法性阻却事由が無いことになります。→違法性が満たされます。

 第3は、有責性です。

有責性とは、責任能力のことです。

ところが、有責性に関する問題は、色々と複雑で、この記事を書いている途中で、何か面倒臭くなって来てしまったので、今回は、超手抜きをして、簡単に済ますことにします(苦笑)。

Kは、犯行時、酩酊状態で、その時の記憶は一切無く、自分自身、何をしているのかが分らない(善悪の判断がつかず、自制心も働かない)状態だったようです。

これが、心身喪失状態に該当するとしたら、犯行時のKには、責任能力が無かったということになり、刑法39条により、有責性が阻却され、不処罰になります。

しかし、そうすると、薬物や飲酒による犯罪等に対する処罰が出来なくなる等の問題が生じることになるので、この解釈は、不当であると言えます。

その為、改正刑法草案17条では、故意や過失によって自ら招いた精神の障害の場合には、刑法39条の適用を除外する規定が設けられていますが、改正刑法草案には、法的拘束力が無いので、これを適用することは出来ません。

そこで、登場するのが、原因において自由な行為の理論(注4)で、今回のケースだと、公然猥褻罪の原因である、飲酒行為をした時点では、責任能力があったので、それを根拠として、刑法39条の適用を否定するという見解なんですが、この通り、解釈すれば、責任能力があるということで、有責性が肯定出来ます。→有責性が満たされます。

でも実際は、この理論にも色々な解釈があって、どの解釈が正しいかは、一概には言えません。

例えば、ヒロポン中毒患者が、薬物注射をすれば、幻覚妄想が生じ、他人に暴行を加えることがあるかもしれないことを承知の上で、薬物注射をし、それが原因で、殺人事件を起こしたケースでは、暴行の未必の故意が認められ、原因において自由な行為として、傷害致死罪の責任が肯定されました(名古屋高判昭31・4・19高刑集9巻5号P411)。

その一方で、以前から多量の飲酒をすると暴行を加える習癖があった精神病患者が、多量に飲酒して殺人事件を起こしたケースでは、犯行当時は、病的酩酊による心神喪失状態であった為、殺人の故意ではなく、多量に飲酒すると病的酩酊に陥り他人に害悪を及ぼす危険を有する者は、飲酒を抑止し危険発生を防止する注意義務があり、それを怠った注意義務違反として、過失致死罪が成立しました(最大判昭26・1・17刑集5巻1号P20)。
 
両ケース共、犯行時は、心神喪失状態だったのにもかかわらず、一方は、故意、一方は、過失という、異なった判断がなされています。

その為、Kのケースについても、有責性が成立する場合と、有責性が成立しない場合の両方の解釈が出来ます。

 これらのことを考慮すると、今回のKの場合は、公然猥褻罪による逮捕は妥当であるとも言えるし、逮捕は、やりすぎであり保護が妥当であったとも言えます。

最終的に、どちらの立場を支持するかは、個人個人の価値観で判断するしかないので、自分が好きな方を選ぶしか有りません。

以上

【参考文献】

注1.井田良『刑法各論【論点講義シリーズ10】』(平成16年、弘文堂) P181引用。

注2.静岡新聞朝刊『「迷惑かけ申し訳ない」草さん釈放、謝罪』2009年4月25日(土)28面記事引用。

注3.井田良『刑法各論【論点講義シリーズ10】』(平成16年、弘文堂)P181引用。

注4.井田良『法科大学院テキスト 刑法総論(第2版)』(2007年、日本評論社)詳細は、P254~260参照。

以上

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以上

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